神のいないエデン――フロレアナ島のアダムとイブ

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この狂気と希望と幻滅のまっただなか

galapagos-affair-bann2a リターは不満だった。

当初は『フロレアナ島のロビンソン・クルーソー』と呼ばれ持てはやされていたのに、バロネスが登場してからというもの、メディアはもっぱら『フロレアナ島の女帝』『楽園帝国の女主人』などと目立ちたがり屋のバロネスを中心としたゴシップ報道に方針を切り替えたからだ。

主役の座を奪われたリターはかなり不愉快に思っていたらしい。積荷などの物品だけでなく、名誉も盗まれた。

そんなリターがロレンツと共謀し、バロネスを亡き者にした。

ドールの証言がおかしいのは、その事実を知ってしまったから――。

リターと、その威厳を守るため、いや、もしかしたらドールはロレンツと愛人関係にあったかも知れない――。という見方がある。

これは、バロネス失踪後にリターがロレンツを『一刻も早く帰らせようとした』という事実もあって、好事家たちから一定の支持を得ている説になる。


その一方で、『米強奪』に始まり『島への差し入れ横領』『ウィットマー家の小舟強奪』など様々な迷惑を被ったことで、ハインツが爆発。

「自分たちで法の執行をしなければならない!」と、決起し、ロレンツと共謀のうえでバロネスを亡き者にした――。

マルグレットはどこかのタイミングでそれに気づき、夫を庇うために嘘の出来事をデッチ上げた――。という見方もある。

3月26日。「タヒチへ行く」と伝言しにきたバロネスを見たのはマルグレットだけ。タヒチの話を聞いたのもマルグレットだけ。当然だ、そんなイベントは無かったのだから――そんな視点だ。

あるいは、実はロレンツの単独犯であったのに、ドールもマルグレットも、「自分のパートナーが共犯かも知れない」と勝手に想像を膨らませ、無意味に嘘の証言をでっち上げたのかも知れない。

あるいは、ロレンツは「死人に口なし」で濡れ衣を着せられただけで、まったく犯行に加わっていないかも知れない。実はドールが、実はマルグレットが。いやさ実は赤ん坊のロルフが。いやウゴが戻って、犬のランプは? などと無駄に想像力だけが消耗されて行く。

利害に直結する重要な出来事だからこそ、証言が食い違う――そう考えるのも落とし穴かも知れない。

このドールとマルグレットの証言が真っ向から食い違うのは、なにも死亡や失踪という『犯罪臭』がするときにだけに見られるモノではないからだ
事件は本当に単純な――バカバカしいほどシンプルな真相である可能性もある。

しょうもない食い違いは、たとえば、ドールが飼っていたロバの件が挙げられる。

ウィットマー家がフロレアナにやってきて間もない頃の話。
荷物を海賊洞穴まで運搬するのにウィットマーズがドールにロバを貸してくれるよう頼んだが――

マルグレット「ドールに『自分たちも使うから無理』と冷たく断られた」
ドール「不幸な過去(註:リターのあとに来た定住希望の若い男グループが、挫折し、帰国するさいに置き去りにされた)を持つ、可哀想なロバをこれ以上苦しめたくなく、本当は貸したくなかったが、ウィットマーの勢いに泣く泣く貸すことになった。本当につらかった」
と、このような食い違いがあり、事実がわからない話が多い。

ちなみにしばらくののち、可哀想なロバは死んだ。
ウィットマーの農園に迷い込み、畑荒らし常習犯の野豚と勘違いしたハインツに撃たれたのだった。最後まで不幸を貫徹したロバだった。

ともかく、この事件を考える上で重要なのが『証言の精査』なのであるが、さすがに島全体が密室状態にあったため、結局『誰を信じるか』という話に堕しがちである。

■諸兄の溜飲も下がるシリーズ諸兄にとって楽園とは『青い海と水着美女』――それだけで充分なはずだ。むしろ海なんてモノも蛇足でしかなく、もっといえば、こう、水着とかも不要かもしれない。 かような美人を前にすれば、諸兄の股間ミサイルも列島横断待ったナシだ。写真協力:湯葉さん twitter:@honekawayuba

■諸兄の溜飲も下がるシリーズ

諸兄にとって楽園とは『青い海と水着美女』――それだけで充分なはずだ。むしろ海なんてモノも蛇足でしかなく、もっといえば、こう、水着とかも不要かもしれない。
かような国際問題レベルの美人を前にすれば、諸兄の逞しいミサイルも列島横断待ったナシだ。
写真協力:湯葉さん
twitter:@honekawayuba


トレハン自身が『真相を辿ることは難しい』と書いているが、様々な説があるなかで、ひとつロマン溢れる話がある。

もちろん、この場合のロマンは荒唐無稽というニュアンスを多分に含むものであるし、事件の研究家たちも鼻で嗤って取りあわない程度のものだが、下世話なオカクロ特捜部としてはあえて重要視し、特筆しておきたい。

バカバカしい話――けれども、世の中で起こる様々な事件の主要な動機の一角として存在し続ける――『金』の話だ。

しかも、この事件の場合『海賊の財宝』となる。男の子ってこういうのが好きなんでしょう?

直接的な下手人でもなさそうな人間が虚偽の証言をする――それは背後に金銭的な利害関係があるからではないか――そんな話になる。

ロレンツが『偶然にも』ナッガルードと共に、数ある群島のなかでも140km離れたマルチェナ島という『同じ島』に『生きて』漂着していたこと。

これは決して偶然などではなく、実は2人はマルチェナ島で財宝を探していたのではないか、そして、もしかしたらそれを発見したのではないか――。

トレハンが著作で少しだけ触れているが、旅行記などを書くため、当時フロレアナ島にちょくちょく訪れていたデンマーク人作家のハコン・ミルヒェが、自らの著作に以下のような注釈を残している。

これは、その三週間のあいだにほかの住人たちが目撃したディナミタ号の不可解な航海をうまく説明するし、ボートに乗っていた3人がほかになんの面白味もない島に上陸した理由も説明できる。ナッガルードとロレンツは当てこんでいた宝物について争い、互いに殺し合ったのか、さもなくば、難破して島に打ち上げられたのだろうか?
もしそうなら、ボートや土地っ子の船員はどこへ行ったのだろう? 彼はその秘密を知ってボートを盗み、雇い主を無情な太陽の下に渇きで死ぬままにゆだねたとしても不可能なことではないのだ! としたら、今、彼はどこにいるのだろうか?

ソースは失念したが、この「船員少年の裏切り説」のバージョン違いに、「バロネス暗躍説」もあった。このロレンツの死にバロネスが関与している――というものだ。

バロネスは財宝の所有権をめぐるトラブルを避けるため、失踪という茶番を演じ、スケープゴートの役目を終えたロレンツを島外に呼び出した上で消し、そのまま財宝をつめこんだトランクひとつだけで浪漫飛行へ in the sky。
これはさすがに与太がすぎる話かも知れない。

が、フロレアナ島をふくむガラパゴス諸島が、長らく海賊の停泊地であったことは歴史的事実である。

ここを補給拠点として海のならず者たちが海賊行為を行い、なかには出航したまま戻らない船もあった。
ガラパゴス諸島に島は数あれど、わき水が存在する島はほとんどなく、フロレアナ島が数少ない水の補給地だった事も事実である。

マルグレットは慣用的な一文ではあるが、誰かの帰りが遅いと「財宝でも探しに行っているのか」という文章表現を使うことがあり、いわゆる『海賊の財宝』が我々にとっての徳川埋蔵金よりは、多少なりとも身近な存在であることをうかがわせる。

そしてやはりマルグレットによる『What Happened On Galápagos?』稿をみれば
「島にやってきた新人たちはランタンを片手に地面を掘る。この列島に埋まっているという伝説の財宝を探しているのだ」とある。

これらのトレジャーハンターたちが成果を上げたかどうかは定かでないが、実際にフロレアナ島が過去、財宝の隠し場所になった事実は存在する。

ガラパゴス諸島の長い歴史を綴った書籍『ガラパゴスの呪い―入植者たちの歴史と悲劇』によれば、1845年。銀を積載し、リバプールへ向かっていたワシントン号の船内で12人の船員が反乱を起こした。反乱者は船長、その息子、将校全員を殺害し、ガラパゴス諸島へ向かった。

島に着き、そこで分け前をめぐるイザコザを起こし船員2人、少年1人が死亡した。
足がつくことを避けるためにワシントン号を処分することにし、近海で沈めたのだが、その際に持ちきれなかった戦利品が諸島に隠された。これがどうもフロレアナ島だったようだ。

反乱者たちは小型のボートで大陸に戻り、そこで方々へ散ったが、2人だけエクアドル沿岸部に残り、少しずつガラパゴスから財宝を回収した。が、回収に使ったボートが無認可のモノだったことから当局に目をつけられてしまう。

そうして結局、反乱船員たちが当局だの海軍だのに身柄を拘束され、裁判にかけられてるうちに財宝の所在はウヤムヤになった。

これは少なくとも、島に立ち寄っていた様々な海賊たちに由来するふんわりとした『財宝伝説』でなく、事実に基づいた実話である。

これに目をつけたのか、1860年には、あるフランス人がフロレアナ島の一部権利を購入している。これは様々な機器を持ち込んだ本格的な財宝探しだったが、成果が上がらず2年でやめた。


もし、フリードやウィットマー家、あるいはバロネス一派、いずれかのグループによって、『財宝』が発見されていたとすれば?

発見された場所が『知事に与えられた自らの土地』でなく、自らの属さないグループの土地だったとしたら?

それに起因したトラブルが殺人へと発展したため、その罪と財宝を隠蔽するため『嘘』が必要になった――。

などと書いても証拠も何もない。無念ではあるが与太話である。

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進まなきゃ 勢いを増した向かい風の中を

2013年になって、この事件を題材にしたドキュメンタリーフィルムが撮られた。

タイトルは『Galapagos Affair: Satan Came to Eden

副題の「Satan Came to Eden」はドールの出版した体験記とまったく同じであるが、『原作』というワケではない。ドール、リター、マルグレットなどの手記からそれぞれの言葉を拾い、映像とともに事件の流れを追う構成になっている。

残念ながら当事者はみな死没しており、あくまでも『当事者の関係者』へのインタビューが主になる。ちなみにリターの甥などが出てくるが関係あるのかは良くわからない。

ニーズの問題だろうが、国内盤DVDは発売されておらず、今後も発売されることはなさそうだ。一応トレーラーはyoutubeにて公開されている。

動いているリターとドール、そしてバロネスやウィットマー家などの貴重な映像をチラリと見ることはできるが、トレーラー終盤にロレンツのミイラが出るので苦手な方は注意。

このフィルムの一番の見せ場は、バロネスが売名目的で撮影した映画『The Empress of Floreana』の本編かもしれない。侵略者と戦うヒロインをバロネスが演じているのだが――こう、なんというか、色々きびしい。

ともかく、80年以上が経過した今をもっても何があったのか定かでないまま、ただ憶測だけが存在している。

哲学者や信奉者、そして悪魔が去り、楽園の廃墟と開拓者が残された。
フリードはドールの強い希望もあって、彼女が島から退去してすぐにウィットマーによって取り壊された。

マルグレットの書いた新聞記事に対して『抗議文』を送りつけ、アメリカのメディア『リバティ』誌の記者に「嘘つき」と評されながらも、最後まで自らの正当性を主張したドール。彼女は1942年、ベルリンで亡くなった。

ウィットマーファミリーは島に残り、その後もコツコツと開拓を続け、やがて住居も農園も立派なモノとなった。

1937年にはロルフに続いて新たな命がフロレアナ島に生まれている。5つの名前候補から、うち2つ採用し、彼女はインゲボルグ・フロレアニタ・ウィットマーと名付けられた。
その名にフロレアナを冠する――過酷な環境に負けなかった唯一の開拓民、「フロレアナ島、ウィットマーの子である」と誰にでもわかる名だった。

その後、一家は島の西岸にあたるブラックビーチに居をうつし、ドイツ領事館を通じてエクアドル政府から
あなたがたが望む限り、いつまでもフロレアナ島で暮らしてくれてよい
とお墨付きも与えられた。

ドイツ人だということで二次大戦中は強制送還の危機もあったが、米国政府のはからいで強制送還も収監ももされなかった。(註:大戦に先立つ1938年に近くを通りかかった、時の大統領フランクリン・ルーズベルトが軍の船で郵便入り江までやって来ている。ウィットマー家に事前の連絡が無かったため、行き違いで会見は成らず。ルーズベルトは入江に2時間ほど停泊していたが、ウィットマー家に再来を約束する手紙だけ書いて去っている

苦難を乗り越えた先に、乗り越えがたい不幸もあった。
島にやって来たとき12歳だった少年、ハリー・ウィットマーが1951年に漁船が転覆し、若くして亡くなったのだ。

さらにその12年後の1963年、働きに働いてきたウィットマー家当主――事件の当事者ハインツ・ウィットマーが亡くなった。74歳だった。

その翌年、1964年には旅行者の女性が、1968年にはインゲボルグの夫マリオが失踪し、「あらたなミステリーか!」と騒がれた。これは存命だったマルグレットも尋問を受けるハメとなった。が、旅行者は後に白骨が発見されている。どうやら道に迷って帰れなくなったらしい。マリオは消えたままである。

ゆっくりと、でも確実に時は過ぎ、2000年代最初の年、西暦2000年3月21日。ガラパゴス・ミステリー最後の当事者、マルグレット・ウィットマーがこの世を去った。島で生まれた子供や孫に囲まれて、97歳の大往生だった。

ロルフが生まれる前に書かれた日記をみれば、そこに彼女の人柄がよく表れた一文を見つけることができる。「おかしなもので、こんな孤島にきても、ベビー服のふちどりにレースをつけようかどうかどうしようか――などと迷ってしまう」

島に来るまでは銀行に勤め、生粋の『都会っ子』だったというマルグレット。野牛や豚から作られた石鹸も蝋燭も、彼女の発案に基づいてハインツが作った。島での暮らしがタフになることを一番理解し、一番対策したうえで来た。まったく折れない、それでも折れない開拓民の妻。

彼女は手記『ロビンソン・クルーソーの妻』に以下のような言葉を残している。

島は人間に好意的ではなかった。島の歴史は失敗の連続である。
だが、私は失敗という言葉を好まない。
それは島のせいではなく、きっと人間の方に原因があるのだと考えたい。

私たちはその歴史にまた新たな失敗のページを書き加えるために、すべてを捨ててわざわざ何千浬も航海してきたのではない。

マルグレット・ウィットマー (Margret Wittmer 1904-2000)
ジョン・トレハンはウィットマー家が島で成功した要因に、他の二世帯に見られなかった『強い家族愛』を挙げているが、きっとマルグレットという個性も成功の大きな要因だったのだろうと個人的には思う。

もしかしたら、彼女にかんしては『ロビンソン・クルーソーの』などと評すべきでなく、彼女こそ『ロビンソン・クルーソー』なのかもしれない。もっといえば、本当の『アダムとイブ』はウィットマー夫妻だったのかも知れない。


現在フロレアナ島には100人前後の住民が暮らしており、ようやく『失敗史』を過去形で語れるようになった。

失敗史の『楽園構想』を振り返ってみればリターの目指した『ユートピア暮らし』は到底万人に向けられた楽園などではなく、ただ文明社会からの逃避先でしかなかったし、バロネスの目指したモノは経済活動の一端、金儲けの道具でしかなかった。

ウィットマー家は楽園とはいかなくとも、リターが目指した住みよい場所へと島を開拓し、バロネスのなし得なかったリゾート施設――ささやかな宿泊所『Hotel Wittmer』をブラックビーチに建てた。

このホテルはハインツ、そしてマルグレット亡き後、彼らの娘インゲボルグと孫によって引き継がれ現在も運営されているので、ガラパゴス諸島へ旅行にゆく諸兄には是非宿泊してきてほしい。連綿と続くウィットマー家80余年の開拓史を肌で感じてみて欲しい。もちろんノルウェー人入植者、流刑者たちの涙の歴史も。

ホテル・ウィットマー外観。 ブラックビーチを一望する海岸沿いに建てられている。 近年改築し、かなり高級リゾート感あふれる建物になった。 写真はホテル・ウィットマーのFacebookページから。

ホテル・ウィットマー外観。
ブラックビーチを一望する海岸沿いに建てられている。
近年改築し、かなり高級リゾート感あふれる建物になった。
写真はホテル・ウィットマーのFacebookページから。
画像出典:Hotel Wittmer


開拓前史――80年前、わずか9人、たかが3世帯しか存在しなかったちっぽけな島で、彼らはイガミ合い、ケナシ合い、奪い合った。

実は彼らなどはまだマシなほうで、もっと酷い例では過去『エデン』と呼ばれた場所では、男と女、そして神というわずか3者で仲違いをしたと聞く。どうやら、我々には古くからそういう性分が備わっているらしい。

理想論がダメになり、暴力による支配が倒され、利害が衝突しない範囲の平和が訪れる。いつか世界史で見たような話ではある。

――理想社会、ユートピアを目指していたはずが、いつの間にかディストピアに至る。皮肉屋などは「ディストピアを作りたいならユートピアを目指せばいい」とイヤミまで言う。寛容な社会を目指すには不寛容な者に対して不寛容にならなければならない――というパラドックスも存在する。

ユートピアン、共産主義者、宗教家もあえなく挫折してきた過去に学べば、いっそユートピアの運営を神にでも任せたくなるが、彼にだってエデンで前科がある。

かくして有史以来「どこにもない場所」はどこにも見つからなかった。だが「自分たちの居る場所をよりよく変えよう」とする人たちはいつの世も一定数存在し、その者たちは果敢に挑戦し続けている。

2015年の暮れにgoogleが公開した次のような動画がある。

Year In Search 2015
galapagos-affair-007

動画のバックグラウンドで1人の女性――過去にはオリンピック選手で、かつ男性だったブルース・ジェンナー、現ケイトリン・ジェンナーによるスピーチが流れている。

世界の人々は困惑しているかも知れません、いま世界で何が起こっているのか、と

から始まる一連のスピーチだ。その中で性同一性障害であった彼女は言う。

誰かひとりの話ではなく、何千もの人々――我々全ての話です。我々はみな違いがあります。それは悪いこと――ではなく、本来素晴らしいことなのです。これまでできなかった相互理解――『違い』を受け入れ合うことはできるのか? 私たちにはできます。ともに一歩踏み出せば、必ず、できるのです

少なくとも2015年6月26日、アメリカでは全ての州で同性愛者同士による結婚が認められ、少しだけLGBTに住みやすい世界にはなった。

もちろん、すべての人が幸福である世界は遠い。酒を酌み交わして話し合えば事は解決する――ような単純な世界ではない。『違い』を受け入れるにあたって利害のほかに精神的なコストがかかる人もいて、そのコストを不愉快という言葉に転化する人もいる。なかなかどうして、我々は神の遺伝子を受け継いだせいで、ひどくワガママに育ってしまった。

だが最大公約数の幸福に向かって、世界はゆっくりと――カタツムリにすら気付かれないほどの牛歩でも、確実に進歩している。

かくして楽園への途上、失敗を繰り返しながらも「どこにもない場所」を目指し、万能でも無能でもない人類は今日も歩みを続けている。
急ぎすぎなければ、あるいは、いつか。



■補足用の別ページフロレアナ島での出来事についての余りにも散漫な補足・補遺編
■参考資料ガラパゴスの怪奇な事件
現代世界ノンフィクション全集〈第15〉 最後の楽園 ロビンソン・クルーソーの妻 歓楽郷ラスベガス (1967年)
ガラパゴスの呪い―入植者たちの歴史と悲劇
ビーグル号航海記 下 (岩波文庫 青 912-3)
世界遺産 ガラパゴス諸島完全ガイド (Gem Stone)
Satan Came to Eden
What Happened On Galápagos? The Truth of the Galápagos Affair As Told By A Lady from Cologne
荒俣宏の20世紀世界ミステリー遺産
Adam and Eve in the Galapagos
Galapagos Affair: Satan Came to Eden [DVD] [Import]
The Galapagos Affair – Satan Came to Eden official website
Human and Cartographic History of the Galápagos Islands
Year In Search 2015
Read the Full Text of Caitlyn Jenner’s Speech at the ESPYs | Time.com
One Dusty Track
ダーウィン賞になれなかった死に方を紹介していく | うしみつ
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