2018年、ネットの片隅――ひっそり川辺を漂っていたオカルトサイトが書籍化された。
2026年、8年越しに〝二匹目のドジョウ〟が川辺から解き放たれた。
これは、ながらく都市伝説として語り継がれた噂が現実となった感動の実話である。
散る桜、残る桜も、散る桜

先にSNSのほうで情報が出回っておりますが、新刊のお知らせです。
「オカクロ2、いつでるんだよ。増補版のまえがきで〝(編集部註:出す予定です……)〟って言ってたろ!」との批難の声が少なからず聞こえておりましたが、あれから4年の歳月を経て、二見書房さまから本当に出ることになりました。
『オカルト・クロニクル 暗黒録 』
大事なことは書籍の前書き後書きに書いたような気がするので、告知記事としては異例――サイト運営に関する言い訳を述べます。
まず前回の『ラブランド・フロッグ――カエル男の長い午後』の記事の公開後、グリコ・森永事件の取材に取り掛かりました。
グリコ・森永事件の記事もサイトでの公開を前提とし、一部のモノ好き向けに超冗長原稿も覚悟の上――とコツコツと取り組んでおりました。それは2年半もの長期に及びました。決してサボっていたワケではありません。諸姉兄らが(既に飽きたであろう)モンハン・ワイルズを楽しんでいるのを横目に、筆者は粛々とモンハン・サンブレイクをプレイするという清貧の日々でした。ちなみに実績は全て解除しました。
それはともかく、サイトでの公開の良いところは細かく出典・脚注を明示でき、誰もが無償で情報にアクセスできるという点にある。デメリットしてはサイト構成システムの劣化、Wordpressで推奨されるブロックエディタの使いにくさ、および投じたコストの回収が到底出来ない点。取材にかかる費用、サーバー維持費、ドメイン維持費など様々なコストが重くのしかかってくる。
諸姉兄は言うのだろう。
「アナタはサイトにGoogleの広告を貼っているではないか。それでペイできるだろう。泣き言をいうな」と。
広告ブロックアプリを入れているクセに、いっちょまえに、こんなふうに筆者を非難するのである。
諸姉兄ね、生々しい話をするとサイトの収益ね、毎月1000円にも満たないのですよ。きょうび、小学生でももう少しお小遣い貰っているだろう。丸の内なり港区女子の〝自分へのご褒美カフェ〟一回分にも満たないワケですよ。
ちなみに、このサイトのレンタルサーバー代だけで毎月1300円? ぐらいなので、じわじわ赤字がかさむワケである。
もうね、これは福祉だよ。情報福祉。エンタメ福祉。
かくして社会的意義があると信じ、グリコ・森永事件の超冗長記事もサイトでの公開を予定していたが、取材を始めて1年半?くらい経ったころに、第二集の話が浮上。これは飛びつくよね。この時点で数十万円の赤字だったからね。
しかし問題があった。もとより、第二集用にストックしていた記事は増補版に収録したため、手元に記事ストックがない。とはいえ書き下ろしが一本もない書籍など、諸姉兄は歯牙にもかけないだろう。
「ふん。まだ白紙のほうがメモ帳として役に立つ」などと憎まれ口を叩くのだろう。
この事情により、サイト公開を前提としていたグリコ・森永事件の記事をそのまま第二集へ流し込むことで事なきを得た――ワケである。31万字? の超冗長記事である。
今年1月末の脱稿後、これでなんとかお茶を濁せた――と思ったのもつかの間、2月の初頭に担当編集から「もう1本書けよ。新記事」および、「東京湾の水は、まだ冷たいでっしゃろナァ。産地〝江戸前〟松閣とか、豊洲の目玉メニューになるかも知れませんな。ホンモノの目玉だけに。インバウンド客もインパクトに大喜びや」と言われ、死にたくないから死ぬ気で書き上げたのが、書き下ろし2本目の『大雪山SOS事件』となる。
短い納期で記事を仕上げられたのは、ひとえに運が良かっただけ。Twitter(自称 X)などで協力してくれた皆、ありがとうございました。おかげで、かけがえのない命を守ることが出来ました。
ちなみに記事自体の出来はヒドいものになりましたが。
ともかく、このような経緯を経て事実上の3冊目、『オカルト・クロニクル 暗黒録』の刊行に至ったワケです。一部のフォロワー諸兄が「いや暗黒録て……w」とポストしていましたが、これは刊行に際してやむにやまれぬ大人の事情が働いたためで、ダレが悪いわけでもありません。いやオレは悪くないですが。
あと「また〝増補版〟みたく、完全版商法をやるつもりではないか」という声も聞こえましたが、あれ商法というか、旧版の版元が解散しちゃって、版権引き継ぐために拾う必要があって、「そのまま出すのも旧版をかってくれた読者に申し訳ないから、ストック記事つめこんじゃえ」という善意が働いたがゆえの産物であり、完全版商法などと揶揄すると、本家本元――カプコンさんなりKOEIさんに怒られますよ?
ちなみに、今回の第二集に関しては、初版で終わり重版はないと予想している。
根拠としては、サッコンの世界情勢である。紙はもとより、インク、印刷機の稼働にかかるコスト、輸送にかかる様々なコスト、これらが物資不足により加速度的に上昇しており、これらの資材を海外から買う〝円〟の価値も凄まじい勢いで下落している。
つまるところ、初版を仮に売り切っても、重版がかかる頃――たとえば一ヶ月後なり、二ヶ月後にはコストが更に上昇しており、初版に設定された定価では採算割れしてしまうからだ。今回の第二集初版が2500円+税のようだが、8年前の旧版初版は1800円ぐらいだったでしょう? 今にして考えれば、お手頃価格だったのかも知れない。物価上昇の波がこんなところにまで波及してきているのである。
これにより「第二集初版、発売時は2500円でしたが、コスト増により二刷りから税別3000円に改定させていただきます……」という仕組みが必要となるわけだが、その説明など読者には響かない。「スーパーの卵パックかよ!」「備蓄書放出しろ」「日銀は利上げしろ!」などと心無い批判をしてしまうのだ。そして買わない。――という状況が容易に推測できる。こうした読みから版元としても〝売れるか売れないか分からない得体の知れない珍本の重版〟などというバクチは打ちにくい。
よってたぶん、初版を売り切って、出版社がちょっとだけ潤う――程度に初版部数を調整していると推定される。筆者の記憶が正しければ、今回の暗黒録は増補版より初版部数が少ない。
よって、珍本コレクター界隈・闇市場では数限られた初版を巡っての争奪戦が繰り広げられ、その希少性に目をつけた――すなわち、カネの匂いを嗅ぎつけた転売ヤーたちの参入によりさらなる混乱が引き起こされる。〝定価の二倍の値をつける転売〟という、8年前の旧版初版のときに起こった品薄騒動の再現である。あのときは発売日に重版決定という迅速な措置が講じられたにも関わらず、しばらく品薄は改善されなかった。良識ある者は年間降雨量を遥かに凌駕する涙を流し、争奪戦による死者の遺体を屋根に積み上げたらイナバ物置が潰れた、またはアーサー王の一行が探しに来た、という噂も流れた。
今回は、その品薄に加えて〝重版の余力無し〟問題が加わり、珍本コレクターたちの激戦が予想される。この予想に花京院の魂を全部かけてもいい。
我らが学識ある諸姉兄は言うだろう。
「いや、コスト高はわかるケド、そもそも電子書籍でだせばよくない?」と。
まぁ、そうね。
そのうちそうなるかも。アレはアレでいろいろ大変らしいが。
ともかく、おそらく初版売り切り→絶版ルートが予想されるので、珍本コレクター諸姉兄におかれましては早めの入手をおすすめしておきます。多分書籍の刊行自体がこれが最後になるだろうし。
セールスポイントとしましては、
到底書籍向けとは思えない記事の収録による500ページ超の分厚さ! 防弾防刃用にフトコロに忍ばせておけば撃たれた時に「コイツのおかげで命拾いしたぜ……」が再現できるし、裁判で「ついカッとなって、近くにあったモノで相手の頭部を」――と供述する際に書籍内容的に精神鑑定が有利な方向にはたらく可能性もあり、ページを区切ればテーブルの高さを合わせる用途にも使えるし、本自体が縦に自立するから、本なのに本立ての代わりににもなります。そして例によってチェック漏れした誤字脱字が少なからずあろうことは想像にかたくなく、スキマ時間の間違い探しクイズ本としての用途も兼ね備えています。内容以外はすべて役に立ちますよ!
「ふむ、活動資金の援助代わりに買ってやるか」という殊勝な諸姉兄にあられましては、ありがとうございます!
具体的にはまだ決まってませんが、今回も販促イベントをやるようなので、よかったら会いに来てね! 告知はTwitter(自称 X)にて行いますのでお見逃しなく。
あと、見返りも成果も期待せずOFUSEにて活動資金を投げ銭・援助してくれた諸姉兄にサイン本を送りつけておりますが、今回、まだ連絡のついていない方々がおられます。金額の多寡を問わず、渡世の義理を果たさずにはお天道様に顔向けできないので、おれを男にしてやってください。
加えて、OFUSEがどうにも投げ銭者・支援者との連絡に向かないことが今回わかったので、今後は『note』を主軸として取材のこぼれ話などをポストしていこうと思います。他ライターの記事を読むために登録しておいたnoteアカウントが生きており、ちょうどブログ記事のインポート機能もあったので、『note』のほうに雑文ブログの過去記事も上げておきました。
最後になりましたが、サイトでの記事公開を心待ちにしていてくれた方がた、背に腹を変えられず商業主義に負けてごめんなさい。支援者の方々、第二集の刊行に関わった方々全てに、本当にありがとう。今後ともよろしくお願いします。
2026-04-16
オカルト・クロニクル 統括編集局長 松閣オルタ

