ジャージーデビル――闇に消えた13番目の子

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「これ以上、くるしい思いをするなら、いっそ悪魔の子になればいい」
リーズ夫人が口走ると、それは現実となった。
産婆は見た。馬の頭にコウモリの翼、そして蹄のついた足に長い尾。それは奇怪な悲鳴を上げてリーズ家から飛び出すと、深く、静かな夜の森へ消えていった。
ジャージーデビル伝説。それは悪魔として生まれた、リーズ家13番目の子の物語。

1909 Secret Object

1909年、アメリカ東部。
パインバレンズと呼ばれる広大な森林地帯を擁するニュージャージー州一帯で、奇妙な通報が相次いだ。

それはまだ雪の残る冬、1月16日の未明から始まった。

深夜、なにか獣のような眼をした白いモノがホテル前の通りを横切っていった――と主張した者。あるいは、やはり深夜に奇妙な音を聞いたという者。これら、ささやかものから、「怪物を見た」とする耳を疑うような報告までが寄せられた。
どうやら、なにか起こっているらしい。だが何が起こっているのかをこの時点で明言できる者は誰も居なかった。

バーリントンに住むジョセフ・ローデン一家は「何かが雪を踏みしめて歩く音」を聞き、『それ』は家の周りをぐるぐる徘徊したあげく裏口のノブをガチャガチャ回したと報告したし、ブリストルの郵便局長、E.W.ミンスターは「飛んでる怪物を見たよ!」と主張した。

ミンスターは、午前2時に目を覚ました。そして冷たい水で顔を洗っていたところ、ブリストルに接するデラウェア川上空に奇妙なモノを見たのだという。

川の方向からの聞いたこともない音がして、なにか鶴のように見えるものが、火花のごとき輝きを放って飛んでいました。ツルのように見えましたが、頭は羊に似た感じで、カールしたツノがあったと思います。それが太長い首を前方に突き出すようにして飛んでいたのです、ええ。長細い翼と短い脚も見えました。前足は後足よりも短かったです。見ていると『それ』はまた甲高い悲鳴を上げました

と、かなり詳細に観察している。
我々の知る限り、羊に翼はなく、火花のように輝いたりもしない。これは現代でも100年前でも変わらぬ常識だろう。これは異常事態だった。

「奇妙な音を聞いた」という報告は多く、ブリストルでは深夜、蓄音機のノイズのような音が聞こえたと他の住民が報告している。

そしてこの夜、ブリストルでは警察官が奇妙な生き物に遭遇し、発砲までしていた。

当夜、市中をパトロール中だったジェームス・サックビルという警察官が「犬が制御不能レベルに吠える」ことを不審に思い、犬が吠え続ける先――その暗がりを調べてみることにした。

そうして足を踏み入れた先でサックビルは「今までみたこともない独特の特徴を持った生物」とエンカウントした。

翼を持った『それ』は奇怪な叫び声を上げながら、鳥のようにピョンピョン跳ねていた。一見して腹が減っているのか、腹を立てているのか、あるいはその両方か、判断に困る行動だ。

しかし法治国家にあって、深夜にこのような常識外の振る舞いは見過ごせぬ。鳥なら鳥らしく、馬なら馬らしく振る舞うべきだ。
警官は恐れながらも腰のピストルを抜き、その『それ』に迫った。

警官の動きを察知した『それ』は、それまでの傍若無人な行いをパタリとやめ、スッと小道の奥へと後退しようとした――が遅い。警官サックビルは狼藉者の逃走を見逃すようなマヌケではない。

鉛が食いたきゃ、そう言いな。お前の胃袋に直接ご馳走してやるさ。タフな一流ガンマンよろしくサックビルは構えたピストルの照準を『それ』に定め、引き金を引いた。

間もなく射出された弾丸は一直線に『それ』へ向かい、命中し――『それ』は地面に倒れた。

だが、やったか――! とサックビルが勝利を確信する暇もなく、『それ』はムクリと起き上がって上方へと飛び上がり、夜の闇に飛び去っていった。

目撃証言を元に描かれ、新聞に掲載されたジャージーデビル図。

目撃証言を元に描かれ、新聞に掲載されたジャージーデビル図。掲載された『Philadelphia Bulletin』紙は当時フィラデルフィアで最大の発行部数を誇っていた。
画像出典:奇現象


この生物はよほどタフなのか、あるいは射撃手の腕が悪いのか、このサックビル警官によるものにほかにも何度か銃撃ないし砲撃されているが、あまり効果が上がっていない。どの事例でも多少のダメージをうかがわせながらも、あっさり逃げおおせている。

この年1909年の1月16から同月23日にかけて、ニュージャージー州に点在する町々でこのような恐慌じみた怪物騒ぎが起こっていた。
出没した街はニュージャージー州を中心として30以上にのぼり目撃者数は千人を超えたとまで言われている。

これが『1909年のジャージーデビル騒ぎ』だ。

以下に特徴的な報告を挙げる。

日付出来事
1/19グロスター・シティ、NJ
午前2時30分、ネルソン・エバンス夫妻への訪問。
エバンス氏が騒音に目を覚まし、何の音かと窓から外を見た。するとそこに『ヤツ』がいた。

それは約1メートル高さで、コリー犬のような頭と、馬のような顔をしていました。首が長く、翼の長さは約60㎝で、後脚は馬のようでした。その後脚で歩いていました。短い2本の前脚がありましたが、私が見ている間は前脚をまったく使っていませんでした。それは私に吠え、飛んでいきました

このクリーチャーは時間にして10分ほどエバンス宅にいたという。
1/21ウェスト・コーリングスウッド、NJ
2人の男が友人宅の屋根に座っている『なにか』に気づく。最初はそれをダチョウだと思った。
なんにせよ、放置は良くないので消防署に連絡し、放水攻撃にて追い払うことにする。

ヤツは放水に一瞬ひるみ、逃げ出した――かのように見えたが、別にそんなことはなく、むしろ正面を向いて立ち向かってくるようだった。
集まった群衆がそれを制止するため、様々なモノを投げて応戦。事態は膠着状態になるかと思われたが、ヤツは唐突に翼をひろげて飛び去っていった。
1/21トレントン、NJ
トレントンの議員であるE.P.ウィーデン宅に来訪。

自分の家に侵入しようとする物音によって議員は目を覚ました。
窓に駆け寄ると、バタバタと羽ばたく音が聞こえた。窓から覗くと、外に蹄跡が確認できた。
この足跡はトレントンの町のそこら中で発見されている。
1/21ブリッジトンおよびミルビル周辺、NJ
ニワトリが虐殺される。農家はこれがジャージーデビルの犯行だと推定。
噂ではこの日、バーリントン市長がその生き物を見つけ次第撃つように警官たちに命じた。
1/21クレイトン、NJ
クリーチャーの尻尾が鉄道のレール線に接触し電気機器が爆発。
ヤツは死んだ――とR.L.キャンベル氏が主張。
生き物の死体は見つからなかったが、線路が溶けるほどだったので、ヤツは死んだに違いないとキャンベル氏。

(註:「この年代に電気の電車?」と疑問に思われるかもしれないが、おそらく蒸気から電気に切り替わる過渡期の、いわゆるインターアーバンかと思われる)
1/21カムデン、NJ
午後7時ごろ、マリー・ソルビンスキー夫人が裏庭が騒がしいことに気づく。

様子を見に行ったところ、自宅裏庭でジャージーデビルと、ジャージーデビルに捕まっている愛犬を見た。

夫人はホウキで応戦してなんとか不届者の手から飼い犬を取り戻し、すぐさま自宅に駆け込み、事なきを得た。が、哀れな愛犬は肉を引き裂かれてしまっていた。ジャージーデビルは『恐ろしい悲鳴』を上げて、飛び去ってしまった。

1時間も経たずに、この騒ぎを聞きつけた警官や近隣住民がソルビンスキー宅に殺到し、あたりは騒然となった。

あろうことか、そんな殺気立った猛者たちでごった返すソルビンスキー宅にジャージーデビルが再び舞い戻り、『恐ろしい悲鳴』をあげて存在をアピールした。
すぐさま警察官が発砲したが、ヤツは悠々と飛び去っていった。
1/21アトランティックシティ NJ
プレザントヴィルから約8㎞ほど離れたジャージー・パインズの人気のない場所。そこで電線工事をしていたハワード・キャンベル氏と仲間たちがジャージーデビルと遭遇戦にもつれこむ。

ヤツが電柱の上にとまっていたので、キャンベル氏がすかさず発砲した。銃弾はヤツの翼を貫き、ヤツは地面に墜ちた。
いざ捕獲しようとするも、ヤツは例の恐ろしい悲鳴を上げて動き始め、翼を引きずったまま松の林に消えていった。

報告された特徴は「馬の頭、コウモリのような翼、ネズミのしっぽ
1/22カムデン、NJ
午前2時、屋根の上で足踏みする音がして住人が目覚める。
同夜午前4時ごろLouis Strehr(読み方わからず)なる警官が飼い葉桶の水をペチャペチャ飲んでいるジャージーデビルを目撃。彼によって報告された特徴は「カンガルーの頭と体、鹿のような枝角、そしてコウモリの翼
1/22マウント・エフライムおよびグロスター、NJ
恐慌により学校とオフィスが閉鎖される。
1/22モリスビル、PA
ジャージーデビルが捕獲され、ある男の納屋に閉じ込められている――という意表を突く報告。
みなで行ってみるも、もぬけの殻だった。みなガッカリする。

これらの事例の他にも、庭に座っているところを目撃されたり、足跡だけが発見されたりという奇妙な報告が多く寄せられていた。
特に足跡に関しては、おりからの積雪が影響してか発見報告が多く、ニュージャージー州をはじめペンシルベニア州の各地方で確認されている。

ここで1909年のジャージーデビル騒動で目撃のあった地点を見てみよう。




わんさかいる。
地図を見ると騒ぎのあった一週間で、かなりの広範囲にわたって派手に出没していたことがわかる。これは当たり年だったと評価できよう。

地図のポイントは『雪上の足跡』も含めたモノであるが、『雪に足跡』と言われて、当サイトの熱心な読者諸兄は『悪魔の蹄跡 いまだ未解決の怪事件』を想起されたかも知れない。

これは1855年2月、英国はデヴォンシャー地方で起こった奇妙な事件で、これも広範囲にわたり雪上に蹄鉄状の足跡が残されていたというケースだ。

デヴォンシャーで確認された「足跡が壁や塀を跳び越えて続いていた」という報告が、この1909年のジャージーデビル騒動でも確認されており、こうなってくるとやはり
ヤツは、はるばる海を越えて新大陸までやって来たに違いないね
という話も持ち上がってくる。

その推測が正しかったかどうかは別として、当時『フロム・デヴォンシャー』以外にも、その正体について様々な説が持ち上がった。

そのなかでも比較的よく主張されたのが、古代生物の生き残り説だ。
つまりは絶滅したはずの翼竜などが実は生き残っていたのではないか――とするモノである。

これはある程度の権威ある人物によって主張されたため、ある一定の説得力をもって大衆に迎えられた。
註:『権威ある人物』について。ムー系列の書籍『奇現象 』や他の資料によると、フィラデルフィア・サイエンス・スクールのベイトコフ教授(Prof.Bralhopf)によってペレオザウルス(?)説。スミソニアン・インスティチュートの生物学のエキスパートによって翼手竜説が唱えられたとある。「先史時代の生物が洞窟に潜伏しているのだろう」と発言。が、大元のソースは不明

他にも『人類進化のミッシングリンク説』というモノも挙がったようだが、ハッキリ言ってミッシングも何も、そもそも馬の頭に翼が生えたような奇っ怪なヤツが人類にリンクしているとは思えない。

ともかく、そんな様々な説を駆逐したのが『リーズ家の悪魔説』だった。

恐竜だの古生物だの、ちゃんちゃらおかしい。ジャージーデビルは悪魔なのだから――1735年に生まれたリーズ家の末子なのだから


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マザーリーズは子だくさん

1909年の騒動に遡ること174年前。1735年。

当時、アメリカはいまだ英国の支配下にあった。いわゆる植民地時代である。

独立戦争が1775年に起こるので、その40年ほど前の話になる。

バインバレンズにあったリーズ一家宅で、一人の子供が生まれようとしていた。遠く雷鳴が夜空を走り、その光がおりからの嵐で揺れる森の木々を照らしていた。不吉な夜だった。

リーズ夫人にはすでに12人の子供がおり、生まれてくる赤子は13人目の子となる予定だった。きちんと、生まれて来れば。

だが今回はひどい難産で、リーズ夫人の正気を奪わんがばかり。彼女は叫んだ。

「こんな子は、悪魔になればいい!」
産み落とされた子は、哀れなほど小さく、産婆が失神する程度には異形だった。
やがて『その子』はぎこちなく動きまわり、背に翼をはやし、足をヒヅメに、顔を馬に、心を悪魔にし、身も凍るような悲鳴を上げた。

そうしてリーズ家の煙突から外へ出ると、どこまでも続く昏い森へと飛び去っていった。

他にも「疎まれながらも、しばらくはリーズ家の一員として暮らした」とか「森へ行く前に、リーズ家の他の子供たちを殺して喰った」などという話があり諸説紛々であるが、『生まれた悪魔が森へ去った』という部分は共通している。

人々は言った。1909年に現れたのは、この『リーズ家の悪魔』だったのだ、と。
産み落とされて以降、この『末子』はパインバレンズの周辺でたびたび目撃されてきたのだと。

有名どころでは、以下のような事件が語り継がれている。

・1740年。リーズ家の悪魔が現れて皆が怖がるので、聖職者による悪魔祓いが行われた。この効果か、その後100年はリーズ家の悪魔に目立った活動は見られなかった。
・1800-1820年ごろには、スティーヴン・ディケーター海軍准将が砲弾テストを行うためハノーバーの工場を訪問している際に遭遇。退治しようと砲撃したところ、弾は翼膜を貫通したが、リーズ家の悪魔はそのままどこかへ飛び去った。年代諸説あり。
・1816年ごろ、ナポレオンの兄であるジョゼフ・ボナパルトがニュージャージーの地所で目撃。
・1840年。ジャージーデビルの当たり年。怪物が国内で暴れ回ったため、地域一帯で羊や鶏といった家畜に大損害を被った。この年が悪魔祓い100周年だったとされている。
このように長い歴史のなかで『リーズ家の悪魔』は語り継がれ、恐れられていた。長きがゆえにジャージーデビルという存在を都市伝説の一形態だと見なす向きも強い。
そんなものは伝説に過ぎないのだよ、おとぎ話の中だけの出来事なのだよ、と。

たしかに1735年といえば、現代から数えて280年も前の話。その頃の日本を見てみれば『暴れん坊』こと8代将軍 徳川吉宗が白い馬に乗って浜辺を駆けていた時代である。

この頃に書かれた資料というモノは、もはや古文書の域に到達していると言っていい。ゆえに、ジャージーデビルの逸話も、『都市伝説』とするより、単純に『伝説』と呼んだ方が本来の意味に近いのかも知れない。

だが、語られる伝説なり物語が、全てフィクションか? と問われればそうではない。説明は項の後半に回すが、ジャージーの悪魔を生んだとされる『マザーリーズ』。そして『呪われたリーズ家』これらは実在していた。

そして、様々な噂を吸収しながら肥大していった。

たとえばジャージーデビルは、その出現によって『凶事』を告げる――というモノがある。

これは主に「大きな戦争の前に、ジャージーデビルが姿を現す」といったもので、南北戦争、米墨戦争、米西戦争、第一次世界大戦、真珠湾攻撃の直前、それに続く第二次世界大戦、そしてベトナム戦争――。これらの米国が関与した戦争の前に多く目撃されるのだという。

奇怪な生物が『凶兆』を告げる――と言われれば、同国の「モスマン」や、日本での「クダン」などが想起されるが、奴らが予告しているのか、あるいは凶事を引き起こしているのかは議論の分かれるところだろう。実利的な側面から言えば、投資家諸兄は次にジャージーデビルが現れた際、米国株に空売りを仕掛けるとバフェットやソロスを超えるパフォーマンスが得られるかも知れない。

ともかく、長年にわたってニュージャージー州一帯に恐怖と混乱を招いていたリーズ家の十三男坊であるが、正直なところ、それほど恐れる必要はないのではないかと言いたい。

先に紹介した『新聞に掲載されたジャージーデビル図』を、じっくり見ていると――。勝てるんじゃないか? そんな気がしてくる。

足が細く、体幹バランスは悪く、重心は高い。闘志を感じさせないつぶらな瞳。

この生物は銃や砲撃に対して神がかり的な無効属性を持っているのかも知れないが、徒手格闘における直接物理攻撃なら充分にやり合えるのではないか――。

ことUMAに関して、オカクロ特捜部がそうであるように、諸兄のうち何人かは、この怪物を「勝てるか勝てないか」という視点で見ていたはずだ。そして、少なからず勝算ありと踏んだのではないだろうか。

ここで、完勝のためのファイト・プランを考えてみたので、是非今後の参考にしてほしい。

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jerseydevil_syo001-1
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jerseydevil_syo003
jerseydevil_syo004 どうだろうか。
若干卑怯な感じもするが、命のやりとりにルールは無用と聞く。だいたい、目つぶしがなくても貧弱な下半身を諸兄の爆殺ローで重点的に狙えば、ヤツとてひとたまりもあるまい。

手間のかかった冗談はともかく、ジャージーデビル伝説は現在でも続いており、目撃も絶えたわけではない。

それほど遠くない過去、ある一人の少女――ローラ・リュテールが立ち上げた『Devil Hunters』というサイトがあった。

これはジャージーデビル捜索を趣旨としたウェブサイトで、サイト内には通報フォームが設けられており2000年以降もインターネットを通じて目撃情報が集積されていた。行動派だった彼女はジャージーデビルを探すため支援者を率いてパインバレンズに足を踏み入れたりもしていた。残念ながらその捜索は徒労に終わったが。
ジャージーデビルを探して賛同者と共にパインバレンズにて調査を行うローラ。 画像出典

ジャージーデビルを探して賛同者と共にパインバレンズにて現地調査を行うローラ。

画像出典:Haunted Hikes: Spine-tingling Tales And Trails from North America’s National Parks


少女が運営するサイトということで、諸兄は長年のわだかまりを捨て、信奉派・懐疑派の垣根を越えた優しい心で受け入れるのであろうが、これは三十路男が運営しているオカルトクロニクルに対しての明白な差別である。

待遇の改善を要求するほどではないが、たまには優しくするか、あるいは少女に対して「ガキの出る幕じゃねぇ! オカルトは遊びじゃねぇんだ!」と厳しく接してほしい。
残念ながら『Devil Hunters』は現在では閉鎖

ともかく、当地の名を冠した未確認生物ということで、ニュージャージーでは『ご当地文化アイコン』として持ち上げられることが多く、アイスホッケーチームの名前『ニュージャージーデビルズ』として採用されたり、人気TVシリーズ『X-FILES』でもシーズン1第5話でパインバレンズにモルダー捜査官が訪れている。
未確認生物を探す人気番組『MonsterQuest』でもやはりジャージーデビルが取り上げられており、『例によって徒労に終わる捜索』が行われている。

アイコンとして定着したものには『ご当地名物』がついて回るが、ジャージーデビルも例に漏れず、その名を冠したカクテルが作られた。

これはリーズポイント(註:一説にジャージーデビル出生の地とされる)に近いスミスヴィルで考案されたもので、書籍『Phantom of the Pines: More Tales of the Jersey Devil』によればレシピは以下のようにある。

1 1/2オンスのアップルジャック(註:レアード社) 1オンスのコアントロー (註:仏産リキュール) 1オンスのレモンジュース 
3オンスのクランベリー・ジュース
フロージーにて軽く攪拌。
氷を加えてよく振って、8 1/2オンスのグラスに注ぐ

女性を部屋に連れ込んで、このシャレオツなカクテル『ジャージーデビル』を振る舞おうものなら、村上春樹の小説ばりにオンナなんてイチコロっすよ。

諸兄「どうだい? 僕と君とで13人の子作りにチャレンジしてみないか?」
女性「ふふ、いやよ。懐疑論者が13人目の子を“存在しない„って言うもの」
そう、ジャージーデビルは13番目の子として認知されていない。そんなモノは都市伝説でしかないと。

では長きにわたって皆が探し回った怪物、ジャージーデビルとは何だったのか。
次ページでは提唱された諸説。騒動への懐疑、そして真実のリーズ家に迫ってみよう。


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