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  • オカクロ特捜部

    特捜部員
    松閣オルタ

    以上1名

    UFOの飛ばない空に、なんとなくUFOを探していたいアラサー番長。 怖い話は怖くて苦手なので、あまり怖くないオカルト事件や出来事を調査研究。

    でも本当はUFOやUMAを探すより、お嫁さんを探したいです。
    ↓告知&次回予告はtwitterにて。

ディアトロフ峠事件―数奇にして奇妙なる9人の死

DyatloffEYE


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Same Time,Same nine

dyatlov015_min 謎が多く、すこぶる奇妙、そして衝撃的――かつ未解決。多くの場合これだけの材料に恵まれた事件は、良くも悪くも映像化される。
やはりこのディアトロフ峠事件も例外ではない。
2013年には映画『ディアトロフ・インシデント』が制作された。

dyatlov009_min

■諸兄の溜飲も下がるだろうシリーズ。
映画『ディアトロフ・インシデント』よりハイライト。
こんな峠なら、諸兄らもぜひ一晩じゅう遭難してみたいはずだ。
※字幕は嘘字幕です。すんません。



ディアトロフ峠事件に興味を持った学生達が、自主制作ドキュメンタリーを作るためディアトロフ峠へ赴き、そしてそこで……。

一応ネタバレは避けておく。が、少しだけ言わせて貰えば、この映画のハイライトは開始5分でやってきたように思う。こんなディアトロフ峠だったなら、誰も悲しまないで済んだのに。

そして、映画は進み、オカルト・クロニクルでたびたび登場する駆逐艦エルドリッジが――。
とまぁ、なかなか興味深い内容でした。

映画の影響か、この数年でWikipediaのディアトロフ峠事件の項が充実してきている。映画の出来はともかく、これは大きな功績だと思う。
情報が増えれば増えるほど、不可解な事件であることがわかるからだ。

ここで、様々な謎を取りあげてゆく。

なぜ、彼らはキチンと服を着ていなかったの?


下着だけだった者、裸足だった者、仲間の服を着ていた者。
1番凄惨な死をとげたリューダは、隣で死んでいたゾロタリョフがほぼ完全防備だったにも関わらず、セーターを破り、それを自らの足に巻き付けていた。

これを読んで諸兄らは「なんだよ、それは矛盾脱衣だってコトさっき聞いたよ! 寒すぎたら脱ぐんだろ! 俺のは被るけどな!」と憤慨されたかも知れない。
やはり矛盾脱衣はディアトロフ峠事件でほぼ定説のように語られている。

だが、これに対し映画では知性派の男にこのように反論されていた。
オー、カモーン。彼らは冬山登山の経験を多く積んだベテランだぞ? それが、無知な素人みたいに脱いだっていうのか? 誰も矛盾脱衣に気付かず、同じ時、同じ場所で、ベテラン9人が?

なぜ、『車に轢かれた』かのように損傷していたの?


リューダ、ゾロタリョフ、コリャ、ルステムなどがこれに該当する。
ほとんど外傷もなく』と書かれていることが多いが、それはおそらくリューダとゾロタリョフを指すと思われる。2人は肋骨の殆どが砕け、それが内臓に刺さっていた。

ルステムは頭部が『外国の鈍器で殴られたような』陥没損傷を受けている。

検死報告書によれば「岩など、高台からの転落によって受けた損傷である可能性は低い」とある。

なぜ、テントを内側から破ったの?


冬山でテントを損壊すれば、それは自分たちの首を絞めることも同じ。
なのになぜ彼らは大きく裂いたのか。そしてなぜ、-30度という極寒の世界でテントを放棄し、その場を去ったのか。

なぜ、殆ど何も持たず、バラバラに散らばって死んでいたの?


テントから500m離れたヒマラヤスギを中心にして、半径100メートルほどに分かれて死んでいた。
そのため発見も手間取り、三段階を経ることとなった。最後のグループの発見は遭難から三ヶ月後である。

遺体の位置を示したわかりやすい図がロシア語のモノしか見あたらなかったので、頑張って作成してみた。

■遺体発見現場図。 画面中央がヒマラヤスギ。 小さな崖の下で発見された3rdグループは特に損壊具合が酷かった。クリックで拡大。

■遺体発見現場図。
画面中央がヒマラヤスギ。
小さな崖の下で発見された3rdグループは特に損壊具合が酷かった。クリックで拡大。



なぜ、放射能に汚染されていたの?


これはリューダとゾロタリョフだ。
遺体発見後、スベルドロフスク州の放射線研究室にリューダ、ゾロタリョフ、コレバトフ、コリャの衣服が持ち込まれて鑑定されている。

この放射能に関して様々な意見が散見されるが、これは後に触れる。とりあえず、鑑定した専門家の言葉を置いておく。

『茶色のセーターは、150平方cm上で1分につき9900のベータ線をカウントした。
洗浄後、それは1分につき5200になった。現在(註: 1959年5月18日と思われる。最後のグループの遺体発見から2週間ほど)の衛生基準では、1分につき5000を超えたら基準オーバーだ。本来は洗浄後に、環境放射線程度しか残ってないはず。ちなみにこの標準は、放射性物質を扱う労働者のための基準である』

ゲオルギーからも放射能が検出されたという話があったが、これはソースが確認できず真偽は不明。。

なぜ、リューダの舌は切り取られ、ゾロタリョフの眼球は失われていたの?


舌が切り取られていたと言う表現がままみられたが、誠実ではない。無くなっていた、というのが正しい。ただし根本からごっそりと。口腔内は空っぽだった。眼球も眼窩から無くなっていた。

Aquiziam.comというサイトに『ディアトロフ峠の答え』という記事があり、そこではこう書かれている。
三ヶ月も野ざらしだったことから、自然の営みの中で失われたと考えるのが妥当
動物による補食や腐敗によって舌は失われたと。だから何も不思議な事ではない――と。だがオカクロはそうだろうかと訝ってしまう。

本当に腐敗なりで自然に無くなったのならば、同じ場所で見つかったほかの3rd組、ゾロタリョフ、コリャ、コレヴァトフも同じような状態なり兆候なりがあって然るべきなのではないのかなと。

それにリューダの検死報告によれば「胃が約100グラムの凝固血を含む。これは舌が抜かれた、ないし噛み切った時点で心臓は動いていたとことを意味する」とされている。

遺体がオレンジ色になっていたとか、髪が灰色、ないしシルバーになってたって聞くけどどうなの?



これは、どうやら噂の域を脱しないようだ。
テレビ番組『UFOハンターズ』でのマジキチぶりで(コアな)諸兄に大人気のビル・バーンズ先生をしても、オレンジ肌については「……という噂も」と触れる程度だった。

遺体の写真を見る限りでは、特筆すべきコトもないように思われる。
あえてオカクロでは遺体写真は掲載しません。気になる諸兄は『dyatlov corpse』で検索してください。

ただ、一部の目撃者と被害者家族は、遺体の皮膚色について『アフリカ系の人々のそれ』と比喩した。

光の球はなんだったの?


これは空を横切っていたソ連製のミサイルないしロケットだった考えるのが定説となっている。
たしかに2月から3月にかけて軍による発射が行われていたことがアマチュア研究家によって証明されている。

ただ、「全てを『ロケットやミサイルの発射』で説明するのは不誠実だ」――と考える者もいる。

住民などは「いや、ミサイルって空中で停止したり、急に軌道を変えたりするもんなのか? 見分けぐらいは付くよ。バカにすんなよ?」と少しおこ。
実際、住民が『トローリーバス』と表現するほど、ロケットの発射は日常的に目撃されていたようだ。

 

把握できたモノを全て書こうかと思ったが、謎が多すぎて、全部に触れていたらそのうちディアトロフ博士とか呼ばれてしまいそうなので、以降はザラッと疑問点だけ箇条書きにする。

・ディアトロフとルステムはどうして喧嘩したような拳をしていたの?

・コレバトフの消えた日記はどこへ行ったの?

・捜査官イワノフが後に言及した杉の焼けた痕はどうやってできたの?

・どうしてゾロタリョフは仲間たちに偽名を名乗っていたの?

・ゾロタリョフは秘密のカメラで何を撮っていたの?

・1st組のゲオルギーとドロシェンコはどうして木に登ろうとしたの?

・どうして木が焦げてたの?

・そもそも、なぜ放射能測定をしたの?


説明は情報量が多すぎて項が冗長になるので割愛。

ただ首をかしげるべき疑問点が多いことは把握してもらえたかと思う。
次節ではこれらを踏まえた上で、諸説について触れてみよう。

終わらない議論、定まらない理論

このディアトロフ峠をして、神秘の土地だと言うモノがいる。

この峠について触れる者には災いが降りかかるだろう――とどっかの長老が旅人に言うようなことを書いていたサイトもあった。
なんでも、そのサイトのディアトロフ峠記事を書いた記者がそれ以降、不可解な心霊現象やポルターガイストに悩まされたのだそうだ。

もうね、そう言うことは先に言っておいていただきたい。筆者の部屋における今月の電気代が高かったのは、霊のせいかも知れない。実害だ。

せこい話はともかく、この不可解な事件には様々な説が存在する。それらの中に真実はあるのだろうか?

もちろん雪崩のせい説



dyatlov010min

捜索隊の撮影した写真と、2004年に有志によって撮影された写真を重ねた物。
赤い線がディアトロフたちが逃げたルートを示す。
山の稜線が50年前と変わっていないのが感傷を生む。
画像元:aquiziam.com



Wikipediaでは、この雪崩が原因だったのだろうとしている。

雪崩によってテントが埋まり、パニックに陥った9人がテントを裂いて、取るモノもとりあえず逃げ出し、あえなく外で凍死した――とする説だ。

この説が1番シンプルで説得力があるのは確かだ。
だが疑問点の全てをフォローするものではない。そして反論も少なくない。

9人がテントを設営した場所は捜索隊によって写真に収められている。その写真を分析し、「この雪の深さや立地条件から見て、全てを捨てて裸足で逃げ出す規模の雪崩が発生するとは思えない」と雪崩れ説に懐疑的な立場を取る者もいる。

これに対して、「1度目の軽い雪崩れに遭い、少しだけテントが埋まり、2度目を警戒してパニックに陥った」と言う者もいるが、どうだろうか。

dyatlov011

こんな感じならテントが埋もれるぐらい雪崩れんじゃね?の図。



峠の勾配は、約15度。
この角度で絶望的な雪崩が起こりうるのか。雪山の知見に乏しいオカルトクロニクルにはわからない。

ディアトロフ隊はテントを設営するために雪を掘り、斜面にほぼ水平な床面を形成した――ゆえに削られた雪の断面から雪崩れた!」という説明はなんとなく説得力がある。

だがもちろん、雪崩だけではこの事件にまつわる謎の全て――不可解な怪我や放射能――をフォローできない。

やっぱマンシ族が襲撃してきたんじゃね?説


おそらく、無い。足跡が無かった点を無視しても、説明できない点が多すぎる。

これはインフラサウンドによって引き起こされたのだよ説


超低周波音。
人間の耳に聞こえないほど低い周波数の音により、この悲劇は引き起こされたとする説。

ディアトロフ峠へ繋がる頂上の形状は、カルマン渦が発生するための理想的な条件にあり、その超低周波音に晒された9人はえもいわれぬ恐怖とパニックに陥った。

これらの低周波は、鼓膜が内耳の有毛細胞を振動させる。これは明確な音としては聞こえないかもしれないが、内耳内の励起有毛細胞が脳に刺激を与えることにより、その影響下にある者になんらかの精神異常を与える可能性がある。
混乱したからこそ服も着ないでテントから飛び出し、殴り合い、舌を噛み切り、ヒマラヤスギに登り、凍死した。

なんだかありそうな気もするが、そうでない気もする。

そもそも、低周波により外傷なく肋骨が折れるというのはありうるのか。
低周波によって引き起こされた雪崩によって圧迫骨折したということなのだろうか。

無理やりこの説を補強するならば……『死の山』という呼称は本来、『動物が居ない山』という意味でつけられた名称だったそうだ。
これをして、『時折発生する低周波を嫌って、動物たちが近寄らなくなった――ゆえに死の山となった』と考えることも出来る。

でも放射能は?

落雷ないしはプラズマなら、色々と焦げてたのも説明できんじゃね?説


ディアトロフ峠についての本を書いたアレキサンダー・ポポフが主張。
服も燃えたんじゃね? などという。

そりゃあ捜査官イワノフの報告によればスギの木などが焦げてたけども、オカルトクロニクルとしてはどうかなぁと。

仮に落雷があったとしても、そもそも木が焦げていた件については、9人の亡くなった2月初頭以前ないし捜索が始まる直前までに落雷した可能性もあるので、必ずしも重視すべき問題ではないかと思う。

オカクロとしては、一応、球電現象の可能性も指摘しておきたい。

ミサイルに決まってるだろ説


これに関しては様々なバージョンが存在する。

先に挙げた捜査官テンパロフによる『ねぇイワノフ。間近でミサイルが爆発したんじゃないかな』説もこれに含まれる。

ミサイル説バージョンは多岐にわたるが、ディアトロフ峠事件という出来事の根本にミサイルの空中爆発があったと言う点で一括りにさせていただく。
大きな流れとしては

ミサイルが峠付近を飛ぶ。

近隣住民がそれを目撃「光球だ!」

ミサイルの轟音(ないし1発目の爆発)により、衝撃波が発生。

衝撃波により雪崩が発生。

テント埋まる。

ディアトロフ隊、ワケがわからないまま避難を始める。

この時点で怪我をしている者もおり、パニック。

先行して避難した3rdグループの間近で再度の空中爆発。

衝撃波により内蔵に致命的な損壊。

もしかしたら、核をなんらかの形で使用されていたのではないかなぁ。

という流れになる。

このエリアで軍事実験が行われていたのは事実であり(上空の通過含む)、説得力は高いように思われる。

内部的な破壊、焦げ、見慣れぬ光球、捜査官への圧力、新聞で検閲された事実、放射能、多くの疑問にシンプルにアプローチできる。

バージョン違いで、『秘密実験あるいは秘密兵器による空中爆発を目撃したため、軍に消された』と言うモノもある。
シベリア大爆発の前例もあり、なんだか空中爆発の多い土地柄だと思う。

UFOに攻撃されたに決まってるだろ説


やはり、こうでないと張り合いがない。

光球=UFOというのは怪現象に造詣が深くない者でもフッと脳裡をよぎるハズだ。

9人の奇怪な行動、そして奇怪な死に様。
焦げた樹木、そして放射能。
これでUFOでなかったら何なんだ、というコアな論者もいる。
調査ジャーナリストのミハイル・ガーシュタインの発言はこうだ。

テントはナイフを使って内側から切り裂かれていましたから、野生動物や人間から襲われたワケでないことは明らかです。このような事からも、地球上の生物からではなく、別のものから襲撃を受けた事が考えられるのです。
未知の力が一行を襲ったのです。それは周囲の雪や木にはまったくダメージを与えず、人間だけを狙って攻撃できるものだったと思われます

すぐに地球外のモノのせいにする。

UFO Case Files of Russiaを書いた作家、ポール・ストーンヒルも言う。

「(捜査を外されたテンパロフに言及して)徹底的に捜査する人物だったため、事実が明らかになるのを防ごうとしての処置だったのでしょう。これは旧ソ連で起こった最も不可解な殺人事件です。これは殺人だと私は確信していますが、その犯人は私たちの知らない未知のものであっただろうと思われます。
ロシア各地の歴史を調べたところ、このような荒涼とした地域をはじめ、様々な場所に光球が現れていたのです。住民もその存在に気付いていました。生活の一部となっていましたから、さして気にとめることもなく、ただ災害がもたらされないよう祈っていました。というのも、こういった遭遇で被害が加えられることは殆ど無いものの、時折今回の事件のような大惨事が起こることがあったからです

そしてマジキチUFO調査の大御所ビル・バーンズもニヤリだ。

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UFO調査界の草分け的存在。ビル・バーンズ御大。
帽子からして本気度が違う。



「火の玉は、意図的に攻撃したのではなく、一帯を調査していただけで、そこに入り込んだだけで巻き添いで被害にあった可能性もあります。おそらく、この玉から膨大なエネルギーが発せられていたために、人体は急激に老化して、その光線を浴びることで様々な生物学的損傷が引き起こされ――死に至ったのでしょう」

なんだか、いつの間にか、急激に老化したことになっている。

真面目にディアトロフ峠事件の真相を追っている研究家たちは、こんなUFO説にとりあわない。

「その可能性を排除するわけではないが、UFOのせいにすれば全てを簡単に説明できてしまう。それで良いとは思わない」
というスタンスのようだ。なんだか科学の方が思考節約の原理を逆で行くようで面白い。

あまり真面目でないオカルト・クロニクルとしてはこういう話は興味深く、面白いので、延々と聞いていたいが、そうもいかない。次に進めよう。

雪男に決まってるじゃないか、MenkviだよMenkvi説


オカクロとしては、この可能性を排除するわけではないが、これで良いとは思わない。

マンシ族の神話によれば、ウラルの山中にはイエティなどと似た未確認生物Menkviがいるそうだ。

猿人型というより、獣人型? 狼男のような容姿であるというが詳しくはわからない。
マンシ族はホラート・シャフイル山をして『あの山は2つの世界が混じり合う場所。こちらから向こうへ移ることが出来る。魂の世界へゆく事ができる』としており、妙な生き物がこちら側にやってくることもあり得るだろう――と言う。

でもMenkviに襲撃されたとしても、足跡も無かった。ロマンはあるが説得力のない説だ。
だいたい、Menkviの読み方がわからない。

ゾロタリョフが工作員だったに違いないだろ?説


確かに、3rdグループに属するゾロタリョフは調べれば調べるほど奇妙な点が浮かび上がる。

皆に偽名を名乗っていたこと。皆に内緒でカメラを所持していたこと。自分ばっかり厚着して死んでいたこと。1人だけ様々な経歴を有する37歳だったこと。放射能を浴びていたこと。etcetc。
これをして、ゾロタリョフがなんらかの使命をもった工作員で、なにかしらのとばっちりを食って他の8人まで殺された――という話だ。

この説によれば、3rd組がテントから1番離れた場所で発見されたこと、そしてリューダの舌が無かったことも説明できるという。つまりは拷問を受けた、とする。
ゾロタリョフのスパイ仲間と勘違いされてのことかどうかはわからない。

ゾロタリョフが山中でどこかしらの工作員と何かしらの接触をする予定で、それによって生じたトラブルにディアトロフ隊が巻き込まれた――と。

西側スパイ説もこれと似たようなモノであるので割愛。

シベリアの囚人を忘れるなよ説


シベリアの強制収容所から逃げ出した一派がこの山中に潜伏しており、ホイホイやってきたディアトロフ隊を官憲の追っ手だと勘違いして殺害した。
リューダはやはり拷問された。という説だ。

しかし逃亡者とはいえ、-30度の極寒のなか、食物となる木の実も動物もいないような死の山に潜伏するモノだろうか。
よほど収容所のほうが待遇がよろしいのでは無いかとオカルト・クロニクルは思う。

その他、コマゴマとした諸説


・きっとクマに襲われたんだよ説。
・ミニ竜巻に襲われたんだよ説。
・隕石が落ちたんじゃね説。
・いけないお薬でパーティ説。
・ロケット燃料の中毒になったんだよ説。
・仲間割れで殺し合ったに違いない説。

 
諸説紛々である。
ただどの説でも、やはり放射能の説明が難しいようだ。

汚染聖域、汚濁水域

放射能について、博覧強記たる諸兄は『ウラル核惨事』を思い浮かべたかも知れない。

これは、1957年9月29日、ソ連はウラル地方チェリャビンスク州マヤーク核技術施設で発生した原子力事故だ。
兵器(原子爆弾)用プルトニウムを生産するための原子炉5基および再処理施設を持つプラントであり、プラントの周囲には技術者が居住する都市が造られ、チェリヤビンスク65という暗号名を持つ秘密都市として形成された。

そこで起こった事故がこのディアトロフ峠事件の放射能に関連しているのではないか、とオカクロは考えた。

そして色々調べた結果、オカルトクロニクル特捜部は関連する可能性をイエスであり、ノーでもあると濁させていただく。

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目撃された光の球は、救援を呼ぶ照明弾だったのではないか――。
画像出典:映画『ディアトロフ・インシデント』より



ウラル核惨事はチェルノブイリ、フクシマについで3番目の規模の事故であったと聞く。
だが、事故のあったチェリヤビンスク65からディアトロフ峠まで、直線距離にして600㎞ほども離れており、基準値以上の放射能が検出されたという事実の裏付けになるとは思えない。

だが、その一方で、1stグループのゲオルギーは核についての高度な知識を有した技術者であり、ウラル核惨事にも除染技術者として赴いている。

だから彼の服が汚染されていた――などというのは余りにも短絡的であるが、少なくとも関連ゼロとは言い難いと思う。亡くなった9名の中にウラル核惨事の関係者がいたと言うだけでもそれだけ事故が身近なモノだったのだと言えるのではないだろうか。

共産主義政策のもと、物資が貧窮していたのは事実。
もしかしたら、その世情にあって、リューダとゾロタリョフはどこかで古着を購入ないし譲り受けたかもしれない。なにも知らずに、ウラル核惨事で汚染された古着を。
目に見えず、臭いもしない汚染なのだから気付くわけもない。

とはいえ「洗浄することである程度は落ちる」と鑑定した科学者が言っていたので、これも薄い可能性ではあろうが。

他にも、彼らが使用していたランタンが放射線を出すもので、検出された放射能はそれに起因する、という意見もあるが、それならばリューダとゾロタリョフ以外の者、なによりテントから多量に検出されて然るべきなんじゃないかなと思う。

ちなみにWikipediaのウラル核惨事の項に興味深いことが書かれていた。

1950年代当初のソ連では、一般には放射能の危険性が認知されていない、もしくは影響を低く考えられていたため、放射性廃棄物の扱いはぞんざいであり、液体の廃棄物(廃液)は付近のテチャ川(オビ川の支流)や湖(後にイレンコの熱い湖、カラチャイ湖と呼ばれる)に放流されていた。
やがて付近の住民に健康被害が生じるようになると、液体の高レベルの放射性廃棄物に関しては濃縮してタンクに貯蔵する方法に改められた。


この汚染された川なり湖なりで衣服を洗濯した――という可能性もあると思う。もっと言えば、この辺りの地域では、気付かれなかっただけで放射能汚染された衣服が大量に流通していたのではないか――とも思う。

余談ではあるが3rdグループが発見された場所は小さな渓谷になっており、汚染されていたリューダとゾロタリョフはその小川に浸かっていたそうだ。それをして、その小川の泥が汚染されていたのではないか、という話もある。

だが、やはりこれも弱いように思われる。
ディアトロフ峠がチェリヤビンスク65の川下に位置していたならともかく、まがりなりにも山頂近くの小川が川下であるとは思えないし、強烈に汚染されているとも思えない。

研究者たちを悩ませる放射能について、ロシアのテレビ局が制作した『ディアトロフ峠の謎』から、捜査官と鑑定した専門家の問答を掲載しておく。

主席放射線専門家による結論:
通常よりも高いレートが発見され、衣服の薬量測定分析は実施された。大きく偏った数値が衣服に散見される。
茶色いセーター毎分9900カウント。ズボン毎分5000カウント。洗浄後、毎分2600。ちなみに洗浄は3時間の冷たい流水にさらす方法で実施。浄化パーセンテージは30%から60%までの間にある


ナレーション――多くの一般大衆にとってこの数値は実感を伴わない。

ひとつ、分析されたオブジェクトは放射性物質を含む。
ふたつ、オブジェクトのいくつかは、ベータ線を放出する放射性物質が幾分高い。
みっつ、放射性物質は、物体から洗い流すことが出来る。
放射能は、中性子線または濃縮放射能ではなく、粒子を放出するベータ線の放射能汚染に起因しないことを意味する。


ナレーション――調査に当たった捜査官と放射線学の専門家との対話は視聴者に『何があったのか』について理解する手助けになるかも知れない。

捜査官「分析されたオブジェクトの汚染のレベルって?」

専門家「茶色のセーターは、150平方cm(2.5の正方形)上で1分につき9900のベータ線をカウントしたのはさっき言ったよね? 洗浄後、それは1分につき5200の数をした。現在の衛生基準じゃあ、1分につき5000を超えたらアウトなのだ」

専門家「本来は洗浄後に、環境放射線程度しか残ってないはず」

捜査官「では、服が放射性の塵や粒子のせいで汚染されたりする事はあるだろうか?」

専門家「もちろん。衣服は大気をただよう放射性の塵や――死の灰によっても汚染される、もしかしたら、これらの衣服は、なんらかの仕事に従事している時に放射性物質で汚染されたのかもしれない。とはいえ、汚染されすぎている」

捜査官「分析の前にこれらの衣服は最大15日間、川水に晒されていたかも知れない。これを考慮した上で、汚染レベルを見ると?」

専門家「一部は他よりもずっとヘヴィに汚染されていたと仮定することも可能である。我々は衣服が均等に洗浄されていない可能性があることも考慮しなければならない」

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発見されたカメラで最後に撮られていた写真。
何か重要なものが写っているのか、そうでないのか。我々に出来ることは想像力を働かせることだけだ。



様々な説を説明するに、やはり放射能汚染については外せない話題である。

どの説にも頷くべき点があり、首をかしげるべき点がある。そのせいで軽く書くつもりがかなり冗長な項となってしまった。

だが、真相究明にとりくむ諸兄にまずまずの情報量を提示できたのではないかと思う。

不思議に思うのが、これほど不可解で諸説が飛び交う事件であるのに、UFO信奉者の勢いが弱く感じられることだ。

もっとグイグイ攻めても良いのではないかと思うが、ビル・バーンズをしても『火の玉』という表現に留めており、露骨に宇宙人がどうのとは言っていない。

真のミステリーを前にすれば、みな立場や思想を捨て去ってしまうのかも知れませんね。

オカルト・クロニクルとしては、この事件は軍の兵器実験に起因するものだというミサイル説に一票投じておきたい。
もちろん、そのミサイルはディアトロフ峠を徘徊するUFOやMenkvi、シベリアの囚人そしてマンシ族をまとめて屠るため放たれたモノである、と。
足跡や証拠は爆風で消し飛んだに違いない。

と、軽薄な推論はともかく

1959年2月。このディアトロフ峠で一体何があったのか。今も昔もわかっていない。

懐疑派も信奉者も、陰謀論者もフォーティアンも、皆が仲良く首をかしげるしかない。なんだろうね、これは、と。

1959年2月ディアトロフ峠事件。
解き明かすのは、あなたかも知れない。

■おしらせ■
ASIOSさんの本に図版を提供させていただきました。当サイトで追い切れなかった情報など盛りだくさんになっておりますので、興味のある諸兄は是非。

映画で読み解く「都市伝説」 (映画秘宝COLLECTION)

【内容紹介】数々の超常現象や怪奇現象などの謎を解明してきた「ASIOS」(超常現象の懐疑的調査のための会)が今回挑むのは「映画」 ――
映画の題材となった「UFO」「宇宙人」「超常現象」「陰謀論」の謎と真相とははたして……
これを知れば、映画がもっと楽しくなる!

 
■別ページ■  
■以下参考資料
Dead Mountain: The Untold True Story of the Dyatlov Pass Incident
ディアトロフ峠の謎 Тайна перевала Дятлова: 2000年TAU
Dark Matters: Twisted But True [DVD] [Import]
Ancient Aliens: Season 3 [DVD] [Import]
ディアトロフ・インシデント [DVD]
investigator’s documents including termination of criminal case act
Иванов Лев: “Тайна огненных шаров:Enigma of the fire balls/ aquiziam.com/
murders.ru/ skeptoid.com
ディアトロフ峠事件:Wikipedia/ ウラル核惨事:Wikipedia/ 旧ソ連における南ウラル核兵器工場の放射線事故/
ermaktravel.org
ufodigest.com/ failuremag.com/ Complete photo gallery including search party photos/
unexplained-mysteries.com/ deadmountainbook/ ermaktravel.org


他多数。

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  • twitterにて次回記事候補として挙げていた『セイリッシュ海の足首事件』ですが、もうすぐ発売になる洋泉社さんの『怪奇秘宝』にて掲載させていただく予定になりました。

    《発売されました。画像クリックでamazonのページへ飛びます》


    当サイトのアイキャッチを気に入っていただけたということで、菅井協太さんのシングル曲「Butterfly 」 のジャケットを担当させていただきました。
    butterflys /itunes /googleplay
    /菅井協太公式サイト


    ipad、他タブレットでレイアウトがぐちゃぐちゃになる不具合発生中。修正諦め。

    ・一部のスマートフォン(android AQUOSフォン)で本文の行幅が狭く、文字がぎっしり詰まって読みにくい不具合。修正諦め。


    沢山の励ましのメッセージ、項についての追加情報、指摘、ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。
    ともかく、今後とも宜しくお願いします。頑張ります押忍。

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